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不動産の相続

相続した不動産を売却するときにかかる税金

不動産を相続しても、必ずしもその物件に住むとは限りません。場合によっては、売却を要することもあります。
ここでは、相続不動産の売却によって課せられる税金の基礎知識を紹介します。

相続した不動産を放置すると、相続人の大きな負担に

土地や建物といった不動産は、本来は人が住むために所有するものです。従って、何らかの事情によってその不動産に住めなく(住まなく)なれば、そのまま放置されることになってしまいがちです。

人が亡くなれば、その人が持っていた財産は法で定められた相続人が引き継ぐことになります。現金や有価証券といったものだけでなく、不動産も例外なく相続されることになります。

しかし実際のところ、相続すべき不動産が、相続人にとって住むに適さない(すでに新しい住宅や遠方に住んでいる、現状の家族形態に合わないなど)、煩雑な手続きが必要といった場合には、冒頭の記述のように放置されてしまう可能性が高くなります。

不動産の放置は、決してプラスの選択肢ではありません。たとえ住んでいなくとも、相続して所有しているだけで固定資産税は必要となり、相続人が支払わなければなりません。また放置期間が長引けば、年数を経ることで不動産の資産価値も著しく低下します。

このような状況になるのであれば、相続した不動産を売却するという結論に至るのも当然のことなのです。

不動産売却による課税対象額を計算するための基本

土地や建物の売却は、取引によって「利益=譲渡益(譲渡所得)」が生じることを前提として考えられますから、この時点で俗に「譲渡所得税」と総称される、譲渡による所得税と住民税の課税対象となります。

これは、相続による不動産の取得および売却というケースでも例外ではありません。

所得税の計算の元となる譲渡益は、不動産を売却した金額から、取得費(不動産の取得にかかった代金や手数料、取得時の増改築費など)と譲渡費用(仲介手数料や登記費用、印紙税など、売却に際して必要となった費用)を差し引いた額となります。

被相続人の死亡による不動産相続の場合、相続人が取得費も引き継ぐことになります。被相続人の所有期間が長く、取得費が判明しない場合は、売却金額の5%として計算することができます。

なお、建物は利用年数に応じて価値が減少するという考え方のもと、取得費から減価償却相当費を差し引く必要があります。

これは、「取得費×0.9×償却率(建物の価値が減少するとされる、1年ごとの割合)×経過年数」という計算で求められます。償却率は、一般的な木造の住宅であれば0.031、鉄筋コンクリート造であれば0.015などと決められています。

相続における特例・控除などを踏まえた、課税対象額の計算例

ここまでの条件をもって、相続された不動産を5000万円(土地3000万円、築20年の木造の建物2000万円)で売却したケースで計算してみましょう。

被相続人の取得費が不明な場合は、売却額の5%で計算しますから、取得費は250万円と算出されます。建物の減価償却相当費は139万5千円、仮に譲渡費用が100万円であれば、「5000万円-(250万円-139万5千円+100万円)=4510万5千円が課税対象額となります。

ただし、相続によって不動産を取得した場合には、上記の取得費用に相続税額のうちの一定の金額を加算(=譲渡益が圧縮される)という特例が適用になることがあります。

これは、特に相続税を支払うために不動産を売却する時など、相続税と譲渡所得税が二重に課せられるのを避けるための措置で、俗に「相続税の取得費加算の特例」と呼ばれる制度です。

その加算には、「相続により財産を取得した者」であり、相続税が課せられた上で、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることが要件となります。

また、一定の条件の下で「マイホーム特例」という3000万円の特別控除を受けられる可能性もあります(売却相手などにも条件あり)。

どれくらいの所有期間があるのかで、所得税・住民税の課税率は変わる

実際の課税率ですが、不動産を所有していた期間が長期か短期かの違いによって異なります。

不動産の所有期間は、土地や建物を購入した日を基準として起算されます。特に相続の場合は、被相続人(=不動産を実際に購入し、それを遺して亡くなった人)の所有期間が、相続人にも引き継がれることになります。

被相続人が不動産を購入した日が起点となり、相続人に不動産の譲渡(この場合は相続)が行われた年の1月1日までを所有期間とします。この期間が5年を超えていれば長期譲渡取得、5年以下であれば短期譲渡取得として、税率の判断材料とされるのです。

長期譲渡取得の税率は所得税が15%、住民税は5%です。一方、短期譲渡取得は所得税が30%、住民税は9%とされています(現在は、ここに復興特別税が加算される)。

このほか、マイホームとして居住していることなどを条件として、10年を超える所有期間の物件を売却する場合は、6000万円以下の部分が所得税10%・住民税4%になるという軽減措置もあります。

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