よつば通信
空き家を解体するメリット。解体補助金もある!?
日本全国の自治体で、放置された空き家の増加が大きな問題となっています。
周辺環境に悪影響を及ぼしかねない空き家を解体することは、実は所有者側にも大きなメリットが考えられるのです。
なぜ放置された空き家は解体しなければならないのか
総務省の住宅・土地統計調査で発表された平成25年度の数字によると、我が国の空き家の数は、その5年前に比べて約63万戸も増えているという現状があります。
その背景には、新築住宅人気による中古住宅の価値下落(売却が困難)、少子高齢化に伴う後継者(住宅を相続する人)の減少、高齢者の介護施設利用(自宅から離れて暮らす)の拡大など、古くなった住宅が放置され空き家化してしまうさまざまな要因が考えられます。
住宅などの建物は、人が住まなくなって空き家化すると急速に劣化します。
特に日本の住宅の多くは木造建築であり、湿気やシロアリの発生などによって、まもなく倒壊の危機に瀕してしまいます。建物全体にまで影響は及ばなくても、手入れされていない外壁や屋根材などは崩落・飛散などの危険性をはらんでいます。また衛生面・治安面でも周辺環境に悪影響を及ぼします。
平成27年に、このような空き家問題を解消するべく施行された空き家対策特別措置法では、特に倒壊の危機や衛生上の問題のある空き家を「特定空き家」と規定することになりました。
特定空き家であると判断されれば、行政(市町村)による立ち入り調査や状況改善に対する勧告・命令、これらに伴う罰金刑、行政代執行による解体まで行われる可能性が生じます。
売却や土地の有効活用を考えれば、空き家は解体するのがベター
上記の特別措置法に則った行政代執行による空き家の解体は、所有者の許諾無しで行われ、しかもその費用は所有者の負担となります。
少なくとも、所有者側にとっては何のメリットもないこのような事態を避けるため、所有する住宅が特定空き家に規定されてしまったら、自らが率先して解体することそのものが、大きなメリットであると考えられるのです。
空き家を解体することのメリットは、他にも土地を売却しやすくなるという点が挙げられます。
空き家となるような住宅は築年数の古いものが多く、先に述べたように中古住宅の価値が大幅に下落した現在では、買い手が付かないことがほとんどです(買い手にとっては、購入した後に家屋の修繕・解体費用が発生する)。
土地を手放すことを考えるのであれば、建物を解体しておいた方がベターな選択であると言えるのです。
売却をしない場合でも、更地にしておいた方が管理しやすい上、土地を一時的に有効活用(コインパーキングへの転用など)できるなども考えられます。
解体によってかかる費用のほか、負担増となる税金面も要注意
ただし、家屋の解体にあたっては、税制の面での注意を要します。
土地に課せられる固定資産税は、家屋が建っていることを前提として、最大で1/6まで軽減される措置があります(住宅用地特例)。家屋を解体することでこの措置が受けられなくなり、結果的に固定資産税が6倍(標準課税率)まで上がってしまうのです。
税制面での問題に加え、解体自体に大きな費用がかかることが、解体に伴う大きなデメリットとして考えられるポイントでしょう。
一戸建ての住宅の解体費用は、おおよそ坪当たり2~7万円程度が目安とされています。この金額から大きく乖離することはないものの、住宅の素材(木材か鉄筋か)でも変わりますし、地域差もあります。各業者に見積もりを依頼するとともに、近隣住民からの情報収集が解体費用の目星をつけることに役立ちます。
近年では、金融機関が空き家の解体対策ローンを用意していることがあります。金融機関は独自の調査・査定を行っているため、相談内容によっては解体費用の相場を知ることもできるでしょう。
また、見積もりを依頼する、もしくは費用を割り出す際に注意を要するのが、廃材の処理に関するものです。業者によっては、解体で生じた廃材の片付け・処分に費用がかかり、別途に請求されることがあります。
空き家の解体を積極的に進めるため、条件次第で補助金が出る自治体も
さて前述したように、行政代執行によって空き家が解体されることがあります。それほど、各自治体は空き家の問題を性急に解決すべきものであるとの認識を持っています。
積極的に空き家の解体を進めるため、自治体によっては解体費用の一部を補助してくれることもあります。
解体にかかる補助金は、無条件に交付されるものではなく
「建物が倒壊してしまう可能性があるほど老朽化していること」
「旧耐震基準(昭和56年以前)に建てられたものであること」
「申請者が税金を滞納していないこと」
「前年度の所得が1000万円を超えないこと」
「申請者が土地を再利用する目的での解体でない」などを前提条件として、細かな審査を経て解体費用が補助されることとなります。
補助される金額は、各自治体によってまちまちです。各ホームページで内容を確認した上、空き家の現状の相談と合わせて、自治体の窓口に申し出てみましょう。
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