よつば通信
相続登記の委任状とは?必要となるケース
費やす時間や手間などの観点から、相続によって取得した不動産の登記を代理人に依頼することができます。
代理人への依頼には委任状が欠かせませんが、その基礎的な事項を項目ごとに紹介します。
不動産の相続登記には、自分で複数の書類を用意する必要がある
相続に関わらず、売買や譲渡などで不動産を取得したら、速やかに登記を行わなければなりません。
不動産における登記とは、その土地がどこに所在し、誰の所有であり、またどのような建物が建って、どのように利用されているのかを法務局に登録することです。
登記することによって、これらの情報が登記簿に記録されていくことになります。
不動産を取得するということは、所有者が替わるということですから、登記をしなければならないのです。
相続においては、この登記を行わない(不動産の所有者が亡くなった人=被相続人のままである)と、不動産の売却や保険の加入ができないなどの不利益を被ることがあります。
相続登記を行うためには、複数の書類を用意して法務局に提出します。そのうち、各市町村役所などで取得できる書類として、不動産の登記簿謄本、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで記載されたもの)・住民票(および除票)、相続人全員の戸籍謄本・住民票、当該不動産の固定資産評価証明書をあらかじめ取得しておきます。
委任状を作成すれば、代理人に相続登記を依頼することができる
不動産の相続登記の際には、相続人自身が作成しなければならない書類も存在します。
主なものとしては、登記を申請するための登記申請書が挙げられます。法務省のWebサイトにひな形がありますので、必要な様式をダウンロードして作成します。この他、相続の状況(遺言や遺産分割の有無)によって遺言書、遺産分割協議書が必要となります。
相続登記は、上記の書類を揃えて自分で行うことができますが、費やす時間や手間の問題、また登記簿の確認方法や手続きがわかりにくいなどの点を考慮し、代理人に相続の手続きを依頼することができます。
この場合においては、相続登記に必要な書類として委任状を作成することで、必要となる書類の収集や作成、法務局への届け出などを代理人に任せることができます。
登記の代理人は、司法書士(または弁護士)に依頼することが一般的です。また、相続人が複数いるような場合、そのうちの一人が全体の代理人として登記を申請することも可能ですが、司法書士(もしくは弁護士)以外の人が手数料を受けて代理人となることは違法です(処罰の対象となります)ので、注意を要します。
委任状を書く上での必要事項と、万が一に備えた注意点
では実際のところ、委任状には何をどのように書かなければならないのでしょうか。
具体的には、被相続人(亡くなった人)の氏名、相続人の住所・氏名および相続の持分、受任する司法書士や相続人の住所氏名といった、委任や受任に関する個人の情報、相続によって登記申請するという目的や日付、および登記する不動産の表示、および委任日や委任する範囲などを明記することになります。
委任状は、法律で定められた様式がある訳ではありません。司法書士などは各事務所でフォーマットを持っているものですから、相談しながら署名や押印(認め印で可)を進めることになります。
司法書士・弁護士以外の人への委任状を書く場合には、ネットなどで一般的なひな形を検索することができるので、それを確認するのが良いでしょう。
ここで重要となるのが、不正な改ざんによって委任する人が不利益を被ることのないよう、万が一にも委任状が書き換えられないようにすることです。
そのために気をつけなければならないのは、少なくとも署名欄には直筆で署名すること、捨て印を押さないこと(捨て印は文書の訂正を予め認める意思を現すための行為なので、委任状の書き換えが事実上可能となる)、文書の最後に「以下余白」と記載することが挙げられます。
相続する人のうち、委任状が必要な人と必要ではない人の区分
相続登記の手続きを代理人へ依頼する際の委任状が必要となる人は、相続を受ける対象である相続人の立場にあり、かつ実際に不動産を取得することになる人のみです。
相続人であっても、遺産分割協議によって不動産を取得しない人は、相続登記における委任状作成の必要はありません。
これは複数の相続人がいても、不動産を取得する人が一人であれば、必要となる委任状はその人の分だけであり、それ以外の人は作成の必要がないということになります。
また、前述した通り、相続登記は相続人本人が申請することができ、この場合は委任状を作成・提出する必要がなくなります。
この他、例えば法定相続人が配偶者・子ども1人で、法定相続の割合(このケースでは、配偶者1/2、子ども1/2)のまま不動産を共有して登記するような場合は、遺産分割協議は発生しません。このため、現状の事実状態を登記するという意味合いから、委任状の必要はありません。
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